乳酸菌で痩せる?ダイエットに効果的なプロバイオティクスの最新研究

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健康的に体重を減らしたいと考えている人にとって、「乳酸菌がダイエットに役立つ」という情報はよく聞く話題ではないでしょうか? 近年の研究では、特定の乳酸菌が腸内環境を改善し、脂肪の蓄積を抑える効果があることが明らかになっています。本記事では、乳酸菌と体重管理の関係、最新の研究結果、乳酸菌を活用したダイエット方法、そして今後の展望について詳しく解説します。

目次

乳酸菌がダイエットに効果的な理由とは?

乳酸菌と腸内環境の関係

乳酸菌は、腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌の増殖を抑制する働きを持っています。腸内環境が整うことで消化吸収がスムーズになり、代謝の向上や便通の改善が期待できます。特に、肥満やメタボリックシンドローム(代謝症候群)と関連の深い腸内菌群(マイクロバイオータ)のバランスを整えることが、体重管理のカギとなるのです。

腸内には数百種類、数十兆個の細菌が生息しており、これらは大きく「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」に分類されます。健康な腸内環境では、善玉菌が腸の働きを活性化し、消化吸収を助けます。一方で、悪玉菌が優勢になると腸内で有害物質が生成され、代謝が低下し、脂肪の蓄積が促進されます。乳酸菌は、この善玉菌の増殖を助け、腸内環境を正常化することで、肥満のリスクを軽減すると考えられています。

さらに、乳酸菌が産生する乳酸や短鎖脂肪酸は、腸のpHを低下させ、悪玉菌の増殖を抑える効果があります。これにより、腸のバリア機能が向上し、腸管の炎症を防ぐことで、全身の代謝改善にもつながります。また、短鎖脂肪酸はエネルギー消費を促進し、脂肪の燃焼を助けるため、ダイエット効果を高める役割を果たします。

腸内フローラの変化が体重に与える影響

2022年に発表された国際プロバイオティクス学会(International Scientific Association for Probiotics and Prebiotics: ISAPP) の研究によると、肥満者の腸内細菌の組成は正常体重の人と異なり、フィルミクテス(Firmicutes) というバクテリアが増え、バクテロイデーテス(Bacteroidetes) が減少していることが分かっています。フィルミクテスはエネルギー吸収を促進するため、腸内に多く存在すると脂肪が蓄積しやすくなります。一方で、バクテロイデーテスは食物繊維を分解し、短鎖脂肪酸を生成することで脂肪の蓄積を防ぎます。乳酸菌を摂取することで、この腸内細菌のバランスを調整し、体重管理をサポートする効果が期待できます。

さらに、2023年に米国ハーバード大学医学部が発表した研究では、腸内フローラが変化することで、腸のバリア機能が強化され、慢性的な炎症が抑制される可能性があると指摘されています。慢性炎症は肥満の原因の一つとされており、これを抑えることで脂肪の蓄積が減少すると考えられています。


最新の研究が証明!乳酸菌のダイエット効果

ラクトバチルス・カーヴァタス(HY7601) と ラクトバチルス・プランタルム(KY1032)の臨床試験結果

2021年、韓国のソウル国立大学と韓国食品研究院の共同研究によって、ラクトバチルス・カーヴァタス(HY7601)ラクトバチルス・プランタルム(KY1032) を用いた臨床試験が行われました。この試験では、肥満傾向のある参加者に対し、12週間にわたってこれらの乳酸菌を摂取してもらい、その効果を検証しました。

研究結果の概要

  • 体重の減少 (p < 0.001):乳酸菌を摂取したグループは、プラセボグループと比較して有意に体重が減少。
  • 内臓脂肪の減少 (p < 0.025):腹部の脂肪が減り、特に内臓脂肪の減少が顕著。
  • ウエストサイズの縮小 (p < 0.007):ウエスト周囲径が減少し、肥満のリスクが軽減。

また、この研究では、乳酸菌摂取後に腸内細菌の組成が変化し、ビフィドバクテリア(Bifidobacteriaceae)アッカーマンシア(Akkermansiaceae) などの善玉菌が増加。一方で、肥満と関連の深い プレボテラ(Prevotellaceae)セレノモナデス(Selenomonadaceae) が減少することが確認されました。

Azad MAK, Sarker M, Li T, Yin J. Probiotic Species in the Modulation of Gut Microbiota: An Overview. Biomed Res Int. 2018 May 8;2018:9478630. doi: 10.1155/2018/9478630. PMID: 29854813; PMCID: PMC5964481. 

Mo SJ, Lee K, Hong HJ, Hong DK, Jung SH, Park SD, Shim JJ, Lee JL. Effects of Lactobacillus curvatus HY7601 and Lactobacillus plantarum KY1032 on Overweight and the Gut Microbiota in Humans: Randomized, Double-Blinded, Placebo-Controlled Clinical Trial. Nutrients. 2022 Jun 15;14(12):2484. doi: 10.3390/nu14122484. PMID: 35745214; PMCID: PMC9228474.

今後どのように活用されるの?

乳酸菌がダイエットに与える影響についての研究はまだ発展途上ですが、今後のさらなる研究により、より具体的なメカニズムや最適な摂取方法が明らかになることが期待されます。特に、個々の腸内フローラの違いに応じたパーソナライズドプロバイオティクスの開発が進めば、より効果的なダイエットサポートが可能になるでしょう。

また、2024年に発表されたヨーロッパ微生物学会の報告では、乳酸菌が腸内だけでなく、免疫機能や神経伝達物質にも影響を及ぼす可能性が示唆されています。今後、乳酸菌の摂取が健康全般にどのような影響を及ぼすのかについて、より多くの臨床試験を通じて解明されることが望まれます。


まとめ

本記事では、乳酸菌が腸内環境を改善し、体重減少や脂肪燃焼を促進する可能性があることを紹介しました。特に ラクトバチルス・カーヴァタス(HY7601)ラクトバチルス・プランタルム(KY1032) などの特定の乳酸菌が、体脂肪の減少やウエストサイズの縮小に寄与することが研究で示されています。

今後、乳酸菌の摂取を継続的に行うことで、ダイエットだけでなく、全身の健康維持にも役立つ可能性があります。日常の食事に発酵食品やプロバイオティクスサプリメントを取り入れ、腸内環境を整えることが、健康的な体作りへの第一歩となるでしょう。

参照:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35745214/

   https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29854813/

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