【最新研究】食物繊維が腸内細菌を調整し健康を促進するメカニズムとは?

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「腸活」という言葉が広まり、健康維持のために腸内環境を整えることが注目されています。その中でも、食物繊維は腸内細菌のバランスを調整し、健康を促進する重要な役割を持つことが最新の研究で明らかになっています。

食物繊維は、腸内細菌による発酵を経て短鎖脂肪酸(SCFA)を生成し、血糖値・脂質代謝の改善、炎症の抑制、免疫機能の強化など、多くの健康効果をもたらすことが分かっています。さらに、食物繊維の摂取が腸内フローラの多様性を増し、免疫機能の強化や炎症の抑制に貢献することも、最新の総説論文で示されています。

本記事では、最新の研究を基に、食物繊維が腸内細菌に与える影響とその健康効果について、詳しく解説します

目次

1. 食物繊維と腸内細菌の関係

食物繊維とは?

食物繊維は、ヒトの消化酵素では分解されず、大腸で腸内細菌によって発酵・分解される植物由来の成分です。食物繊維には主に以下の2種類があります:

  • 水溶性食物繊維(例:イヌリン、ペクチン、β-グルカン)
    腸内細菌によって発酵され、短鎖脂肪酸を生成。血糖値や脂質代謝の改善に寄与
  • 不溶性食物繊維(例:セルロース、ヘミセルロース)
    内を通過することで便のかさを増し、腸のぜん動運動を促進

腸内細菌のバランスに与える影響

食物繊維の摂取が腸内細菌の多様性を向上させる
ビフィズス菌・乳酸菌などの善玉菌が増え、腸内環境が整う
腸内フローラのバランスが改善し、免疫機能が向上する

2. 短鎖脂肪酸(SCFA)の健康効果

短鎖脂肪酸(SCFA)とは?

腸内細菌が食物繊維を発酵させることで生成されるのが短鎖脂肪酸(SCFA: Short Chain Fatty Acids)です。主なSCFAには以下の3つがあります:

  • 酢酸(アセテート):腸のpHを下げて悪玉菌を抑制し、腸内環境を整える
  • プロピオン酸(プロピオネート):コレステロール値を低下させ、脂肪の蓄積を防ぐ
  • 酪酸(ブチレート):腸のバリア機能を強化し、大腸がんの予防にも貢献

最新研究のポイント

SCFAは血糖値をコントロールし、糖尿病予防に貢献
プロピオン酸はコレステロールを下げ、心血管疾患リスクを低減
酪酸は腸内の炎症を抑え、腸のバリア機能を強化する

3. 食物繊維と肥満・代謝疾患の関係

肥満と腸内細菌の関係

  • 肥満者は腸内細菌のバランスが崩れ、フィルミクテス(Firmicutes)菌が増加する傾向がある
  • 腸内フローラの変化により、エネルギーの吸収効率が向上し、脂肪蓄積が促進される
  • 食物繊維の摂取により、短鎖脂肪酸が生成され、脂肪の蓄積を抑える作用がある

4. まとめ

最新の研究から、食物繊維が腸内細菌に大きな影響を与え、短鎖脂肪酸の生成を通じて健康を促進することが明らかになりました。

腸内環境を整え、健康維持のために、日々の食生活に多様な食物繊維を取り入れることが重要です!

参照
①Cronin P, Joyce SA, O’Toole PW, O’Connor EM. Dietary Fibre Modulates the Gut Microbiota. Nutrients. 2021 May 13;13(5):1655. doi: 10.3390/nu13051655. PMID: 34068353; PMCID: PMC8153313.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34068353/

②Simpson HL, Campbell BJ. Review article: dietary fibre-microbiota interactions. Aliment Pharmacol Ther. 2015 Jul;42(2):158-79. doi: 10.1111/apt.13248. Epub 2015 May 24. PMID: 26011307; PMCID: PMC4949558.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26011307/

③Hijová E, Bertková I, Štofilová J. Dietary fibre as prebiotics in nutrition. Cent Eur J Public Health. 2019 Sep;27(3):251-255. doi: 10.21101/cejph.a5313. PMID: 31580563.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31580563/

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