【腸内環境×快眠】睡眠の質を改善したい人が今日から始めるべき腸活とは

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「睡眠の質を改善したい」

そう思って、寝具を変えたり、寝る前のスマホ使用を控えたり、運動を始めたりした経験はありませんか?それでも「ぐっすり眠れない」「眠った気がしない」と悩んでいる人に、今注目されているのが「腸内環境の見直し」です。

腸と睡眠、一見関係のなさそうなこの二つが、実は深くつながっていることが近年の研究で明らかになってきました。睡眠に関する悩みを抱える人は年々増加しており、ライフスタイルやストレス管理だけでなく、「腸を整える」ことが新たなアプローチとして注目されています。

目次

なぜ今「腸」が注目されているのか?

ここ数年、「腸活」という言葉を頻繁に目にするようになりました。書店には腸に関する書籍が並び、テレビやSNSでは腸に良いレシピや腸を整えるライフスタイルが紹介されています。

特に注目されているのは、腸が私たちの「心」と「体」に与える広範な影響です。美容、ダイエット、免疫、さらにはメンタルヘルスまで、腸の状態がさまざまな健康分野に影響していることが分かってきました。中でも見過ごせないのが「睡眠」とのつながりです。

実際、厚生労働省の調査によると、日本人の約5人に1人が「睡眠に何らかの問題を感じている」とされており、現代社会において質の高い睡眠は誰にとっても大きな課題です。そのなかで、根本的なアプローチとして「腸の健康」が見直されています。

腸と脳はどうつながっているのか?〜腸脳相関の仕組み〜

自律神経と迷走神経がつなぐ腸と脳

腸と脳は、自律神経系、特に「迷走神経」を通して密につながっています。迷走神経は、腸から脳へ、またその逆へと情報を送る双方向通信のような働きをしており、腸内環境の状態がダイレクトに脳に影響を与えることが明らかになってきました。

腸内で発生する微生物代謝産物や化学物質が迷走神経を通じて脳に作用し、気分やストレス、睡眠にも影響を与えることが分かっています。

セロトニンとメラトニンの重要な関係

腸内では、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の90%以上が合成されています。このセロトニンは、夜になると「メラトニン」という睡眠ホルモンに変化し、眠気を誘導したり、睡眠の質を高めたりする働きがあります。

腸内環境が乱れると、このホルモンの生成にも支障が出るため、睡眠リズムが崩れたり、寝つきが悪くなるといった症状が現れやすくなります。

ストレスと腸内環境の悪循環

ストレスを受けると、コルチゾールというストレスホルモンが分泌され、それが腸内バリアを弱めたり、腸内の炎症を引き起こしたりします。その結果、悪玉菌が増殖しやすくなり、腸内フローラのバランスが崩れてしまいます。

こうした腸内の悪化が脳に伝わると、気分が不安定になったり、睡眠の質が低下したりと、まさに「腸と心と睡眠」の悪循環が始まってしまいます。

科学が証明する!腸内細菌と睡眠の深い関係

腸内細菌が私たちの睡眠に及ぼす影響については、近年多くの科学的研究が行われており、その関連性がますます明らかになってきています。

  • 腸内細菌の多様性が高い人は、深い睡眠を得やすく、日中の眠気が少ない傾向があると報告されています。 多様な細菌種が存在することで、ホルモンバランスや神経伝達物質の生成が安定し、良質な睡眠につながると考えられています。
  • 睡眠障害を抱える人では、悪玉菌(例:プレボテラ属やプロテオバクテリア科)が増加し、善玉菌(例:ビフィズス菌、ラクトバチルス属)が減少しているケースが多く確認されています。 これにより腸内での炎症反応や異常発酵が進み、睡眠の質が下がる可能性があります。
  • プロバイオティクス摂取により、入眠時間が短縮され、夜間の中途覚醒が減少したという臨床研究も複数存在しています。 特定の乳酸菌やビフィズス菌を一定期間摂取することで、睡眠ホルモンの生成が促される可能性が示唆されています。

さらに、腸内細菌のバランスがホルモン(特にセロトニンやメラトニン)の分泌や、自律神経の働きを通じて睡眠リズムに影響を与えることも報告されています。腸で合成されるこれらの神経伝達物質は、脳内の睡眠中枢にも作用し、睡眠の導入や維持に重要な役割を果たしています。

腸と睡眠の関係は、単なる「影響を与える」ものではなく、まさに双方向で密接につながる「相互調整システム」の一部であると捉えるべきでしょう。腸内環境を整えることは、脳機能やホルモン分泌にも良い影響を与え、睡眠の質の根本的な改善につながる可能性を秘めています。

腸を整える栄養学のポイント:「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」

腸内環境の改善には、以下の2つの栄養素の摂取が不可欠です。

  • プロバイオティクス乳酸菌やビフィズス菌など、腸内で有益に働く生きた善玉菌
  • プレバイオティクスオリゴ糖や水溶性食物繊維など、善玉菌のエサとなる栄養素

プレバイオティクスとプロバイオティクスを同時に摂る「シンバイオティクス」の考え方も注目されています。納豆やヨーグルト、味噌、キムチなどの発酵食品を日常的に取り入れつつ、食物繊維を多く含む野菜や果物、全粒穀物なども積極的に食べましょう。

睡眠の質を高める!腸活ライフスタイル7選

1. 朝食で腸と体内時計をリセット

腸内リズムと体内時計を整えるには、朝食をしっかり摂ることが大切。バナナ・ヨーグルト・オートミールなどでスタートを切りましょう。

2. 食物繊維を毎食意識

野菜・豆類・海藻・きのこ類などを取り入れて、善玉菌を育てる環境を作りましょう。水溶性と不溶性をバランスよく。

3. 発酵食品を日常的に取り入れる

ぬか漬け、味噌汁、納豆、キムチなどは手軽にとれる善玉菌源。腸に住み着く菌をサポートします。

4. 水分をしっかり補給する

水分不足は腸の動きを鈍らせます。1日1.5〜2Lを目安に、こまめに水分をとりましょう。

5. 就寝3時間前までに食事を終える

寝る前の消化活動は睡眠の質を妨げます。夕食は早めに、消化のよいものを意識して。

6. 毎日同じ時間に寝起きする

腸のリズムは生活のリズムに左右されます。一定の睡眠サイクルを保ち、ホルモン分泌を安定させましょう。

7. ストレスをためない工夫をする

深呼吸・瞑想・散歩・アロマなど、自分に合ったストレス解消法を取り入れましょう。腸はストレスに敏感です。

コラム:腸を整えると心も整う?

うつ病や不安障害を抱える人の腸内環境には特有の乱れがあることが、複数の研究で報告されています。腸内フローラの多様性が低い、炎症性の菌が増えている、善玉菌が極端に減っているなど、メンタルの状態が腸に反映されているのです。

その逆も然りで、腸を整えることで気分の安定やストレス耐性の向上が見られるケースもあり、腸内環境の改善がメンタルケアの一助になると期待されています。まさに「腸は心の鏡」と言えるでしょう。

まとめ:眠れない夜こそ「腸」から見直そう

腸と睡眠、一見無関係に思えるこの2つの関係は、最新の科学によって深くつながっていることが証明されつつあります。腸内環境を整えることが、脳の機能を高め、ホルモンバランスを整え、快眠へと導く近道となるのです。

食事、睡眠習慣、ストレスケアといった日常の積み重ねが、腸にも睡眠にも良い影響を与えます。もし最近眠りに満足できていないなら、今日から「腸をいたわる生活」を始めてみてください。

この記事が、あなたの睡眠と健康の向上に少しでも役立てば幸いです。

参照
①Sen P, Molinero-Perez A, O’Riordan KJ, McCafferty CP, O’Halloran KD, Cryan JF. Microbiota and sleep: awakening the gut feeling. Trends Mol Med. 2021 Oct;27(10):935-945. doi: 10.1016/j.molmed.2021.07.004. Epub 2021 Aug 4. PMID: 34364787.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34364787/
②Wang Z, Wang Z, Lu T, Chen W, Yan W, Yuan K, Shi L, Liu X, Zhou X, Shi J, Vitiello MV, Han Y, Lu L. The microbiota-gut-brain axis in sleep disorders. Sleep Med Rev. 2022 Oct;65:101691. doi: 10.1016/j.smrv.2022.101691. Epub 2022 Aug 31. PMID: 36099873.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36099873/
③Grosicki GJ, Riemann BL, Flatt AA, Valentino T, Lustgarten MS. Self-reported sleep quality is associated with gut microbiome composition in young, healthy individuals: a pilot study. Sleep Med. 2020 Sep;73:76-81. doi: 10.1016/j.sleep.2020.04.013. Epub 2020 Apr 23. PMID: 32795890; PMCID: PMC7487045.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32795890/
④Li L, Liang T, Jiang T, Li Y, Yang L, Wu L, Yang J, Ding Y, Wang J, Chen M, Zhang J, Xie X, Wu Q. Gut microbiota: Candidates for a novel strategy for ameliorating sleep disorders. Crit Rev Food Sci Nutr. 2024;64(29):10772-10788. doi: 10.1080/10408398.2023.2228409. Epub 2023 Jul 21. PMID: 37477274.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37477274/

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